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この記事を読むことで得られるメリット
この記事を読むことで、エンジニアとしての生産性と効果を下げている習慣に気づくことができる。特に、「良いエンジニア」として当然やるべきだと思われていることの中に、実は避けるべき罠が隠れていることを発見できるだろう。これらの習慣を「やめる」ことで、より効率的な問題解決、良好なチームコミュニケーション、そして持続可能なキャリア構築につながる。
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約12分
なぜエンジニアの「やめる」判断が重要なのか
技術の世界では、常に「何をするか」に焦点が当てられがちである。新しい技術を学ぶこと、コードを書くこと、機能を実装することなど、「行動」が評価される文化がある。しかし、優れたエンジニアを真に定義するのは、何を「やめる」かの判断能力かもしれない。
効率性、持続可能性、そして本質的な問題解決のためには、不必要なことを排除する勇気が必要である。それでは、今すぐやめるべきエンジニアの習慣について見ていこう。
すぐにコードを書き始める
「問題が見つかったらすぐにコーディングを始める」という習慣は、エンジニアとして自然な反応に思える。しかし、これが技術的負債の主要な原因になることがある。
本当の問題を理解せずにコードを書くリスク
問題の本質を十分に理解する前にコーディングを始めると、表面的な症状にだけ対処するソリューションを作りがちである。
コードを書かずに解決できるケース
多くの問題は、新しいコードを書かなくても解決できる。既存の機能の再利用、設定の変更、あるいはビジネスプロセスの調整で解決できるケースも多いのである。
問題解決アプローチの再考
コードを書く前に以下の質問を自問すべきである:
- これは本当にコードの問題か?
- 既存のツールやライブラリで解決できないか?
- 設定変更だけで対応できないか?
- そもそもこの機能は本当に必要か?
非エンジニアと専門用語で会話する
技術的専門用語を駆使した会話は、エンジニアとしての自己アイデンティティを強化するが、チームの効果的なコミュニケーションを妨げることがある。
ビジネスサイドとの断絶を生み出す危険性
技術チームとビジネスチーム間のコミュニケーションギャップは、プロジェクトの失敗の大きな原因となっている。
効果的な技術コミュニケーションのコツ
- 技術的な概念を日常的な比喩で説明する
- ビジネス価値と関連付けて技術的な決定を説明する
- 聞き手に合わせて専門用語の使用レベルを調整する
- 話す前に「この説明は非技術者にも理解できるか?」と自問する
完璧を求めて前に進めない症候群
完璧なコード、完璧な設計、完璧なアーキテクチャを追求することは、一見理想的に思えるが、実際には大きな落とし穴である。
過度な最適化の代償
早すぎる最適化や過度に洗練されたコードは、実際には不要な複雑性をもたらし、メンテナンスコストを増大させることがある。
MVPアプローチの価値
完璧を追求するよりも、最小限の実装で早くフィードバックを得る方が、結果的に良いプロダクトにつながる。「良いものを早く」が「完璧なものを遅く」より価値があるケースがほとんどである。
一人で問題を抱え込む
「自分で全て解決すべき」という考えは、エンジニアの間でよく見られる傾向だが、これが生産性と学習機会の両方を損なっている。
問題に行き詰まったら、早めに助けを求めることで、解決までの時間を大幅に短縮できることがある。
効果的なコラボレーションの方法
- スタンドアップミーティングで正直に困っていることを共有する
- コードレビューを恐れずに早めに求める
- ペアプログラミングやモブプログラミングを活用する
- チャットツールで質問することを躊躇しない
新しい技術に飛びつきすぎる
新しい技術やフレームワークに興奮することは自然だが、それらを実際のプロジェクトに不必要に導入することは避けるべきである。
また、新しい技術を追いかける前に、現在使用している技術の深い理解を得ることで、生産性と問題解決能力が大幅に向上する。
ドキュメントを書かない
「コードが自己文書化している」という言い訳でドキュメントを怠ることは、将来の自分と他のチームメンバーに対する裏切りである。
ドキュメントを書くべき重要な対象
- 「なぜ」その実装を選んだのか(「何を」ではなく)
- 非自明なビジネスロジック
- システムアーキテクチャの決定理由
- 既知の制限や注意点
- 将来の拡張計画
テストコードを書かない
自分のソースコードに絶対的な自信がある。優秀なエンジニアの思考は自分の書いたコードに責任は持つが、過剰な自信は持たない(一部の天才エンジニアはテストコードなくても完璧なコードを書けるらしいので除く)
プライベートを犠牲にしすぎる
勉強に必死になるあまり睡眠時間や趣味の時間を削りすぎると、長期的なモチベーション低下に繋がる。休息なしに勉強し続けることは持続不可能である。
脳に休息を与えることが、実は難問解決の鍵となることが多い。意識的に「何もしない時間」を設けることで、無意識レベルでの問題解決が促進される。
マルチタスク
優秀なエンジニアは頭の中に入れておく必要のないことはメモに残し、マルチタスクを避けている。マルチタスクは1つ1つのタスクの精度を下げている
まとめ
本記事では、エンジニアが今すぐやめるべき習慣として、コードを書くことを急ぎすぎる傾向、専門用語への過度の依存、完璧主義、問題の抱え込み、新技術への飛びつき、ドキュメント作成の怠り、プライベートの犠牲、マルチタスクへの依存、会議の回避などを取り上げた。これらの習慣をやめることで、より効果的な問題解決者になり、チームとビジネスへの貢献が高まる。